産業カウンセラー養成講座や資格試験において、「逐語」について重要な要素の1つです。
資格試験の学科2においては逐語記録の分析(対話分析)に基づいた試験が実施されます。
学科1については、極端に言えばテキストを全部暗記すればまず合格点は取れると思いますが、学科2の逐語記録の分析は「暗記」の類の試験ではありません。
対話の内容を読んで、「伝えたかったこと」や「適切・不適切」を判断して回答する必要があります(学科2については別の記事にしたいと思います)。
養成講座内で行う、「対話分析」の課題は、学科2の試験の準備として、また、カウンセリング実務にも影響するものとして、非常に重要です。
また、対話分析Ⅰについては「評価」(A・B・C・D)が付きます。
その後の養成講座のモチベーションにも関わりかねないので、高評価を目指しましょう!
対話分析Ⅰは「息子の非行に悩む父親」と題してカウンセラーとクライエントの逐語記録が展開されます。
提出物となる課題学習においては、この逐語記録に対して5つの問題が示されます。
問題1 このクライエントは何を伝えたかったと思うか
問題1は逐語記録全体を通してクライエントが何を伝えたかったのかについてです。
クライエントの「感情」にスポットを当て、「心配している」「困っている」「悩んでいる」などの伝えたいことを事柄を添えて記載すれば問題ないと思います。
ポイントは、逐語記録の中にでてくるCL3、CO4などの番号を根拠として記載することです。
CL3:クライエントの3番目の発言
CO4:カウンセラーの4番目の発言
という意味です。
クライエントの3番目の発言から、
例:子供が悪い友達と遊びにいっているようであり心配である(CL5)
というように、どの発言からそう思ったのかという根拠を示すしてください。
この点、対話分析Ⅰの課題の前に指導役の方からの説明がないかもしれませんが、根拠を示すことで、加点・減点要素に影響している可能性があります。
逐語に関しては他の課題でも同じだと理解しています。カウンセラー・クライエントの●番の発言内容から「こう思った」「こう感じた」というように根拠を示した方がベターです。
問題2 この面接でのカウンセラーの態度についてどう思うか。
実際の逐語記録を読んでいただくとわかりますが、カウンセラーの態度について目に余るものがあります。
「こんなカウンセラーのカウンセリングは受けたくない。」というのがはじめて読んだ時の感想で、それをそのまま課題に記載しようとも思いましたが、養成講座の課題なので、少し理論的に記載しましょう。
私が講習を受けた時に、講座の中でE.H.ポーターが提唱した「5つの態度」についての話がありました。
1.評価的態度
2.解釈的態度
3.調査的態度
4.支持的態度
5.理解的態度
このうち、産業カウンセラーに求められるのは、5の「理解的態度」であり、理解的態度に基づいてカウンセリングはすすめられていきます(5つの態度については別記事でまとめたいです。)。
逐語記録中のカウンセラーの態度は、「評価的」であり「解釈的」な態度が非常に目立ちます。
そこで、
「カウンセラーのどの態度(具体的にCL●を示して)が評価的(又は解釈的)であると思った。」
とまとめれば問題はないと思います。
仮にポーターの態度が講座内で説明がなくても、「評価的」うや「解釈的」は日常的な日本語として理解できますので、使っていただいてなんら問題はないと思います。
なお、注意点ですが、上に記載したのは「不適切」な態度ですが、逐語記録中に「適切な態度」が見受けられたら、その点も触れてください。
他でも同じですが、「できたこと・できなかったこと」「適切・不適切」など、良い面と悪い面の両方を俯瞰的にみることが大切です。
問題3 カウンセラーの応答で特に適切と思われるものを3つ選びその理由を述べよ
逐語記録Ⅰについては、適切な応答が少ないのでそこまで悩まないと思います。
基本的な応答技法、「伝え返し」「感情の反射」「感情の明確化」などが行われている応答を選んで、
どういった感情(具体的に)について、反射をしている(理解をし受け止める)という内容を記載すれば問題がないと思います。
問題4 カウンセラーの応答で特に適切でないと思われるものを3つ選びその理由を述べよ
適切でないものについては、複数あるので、悩ましい部分もでてくるかもしれません。
カウンセラーの態度として相応しくないもの、例えば上で揚げた「評価的」な態度をとっているのであれば、それを選んだ上で「理解的」な態度による応答を記載すれば良いと思います。
応答の主語は、常に「あなた」であることに注意してください。
カウンセリングの対象はクライエントなので、伝え返しを行うに際しても「あなた」という主語に基づいて応答を記載しなければ減点対象になりかねません。
問題5
・カウンセラー5の応答をどう思うか・あなたならどう答えるか。
カウンセラーの「評価的」な態度を目の当たりにしたクライエントの立場として、あなたならどう思うか、とその理由。適切な応答を記載します。
私の場合は、どのような感情が湧くかを記載しました(例:疑念とか)
答えは一様ではないと思います。
理由を記載する際には、「評価的」という内容の記載があって良いかと思います。
・ クライエント12の沈黙は、どのような意味が考えられるか。
沈黙については、テキストP50を読み返しましょう。
クライエントが沈黙するケースとしては、「ためらい」「不満」「怒り」「戸惑い」「不安」などが考えられrます。
逐語記録の内容と、これらの想定される感情を組み合わせて記載をすれば問題がないと思います。
・ カウンセラー18の応答をあなただったらどう答えるか。
穴埋め問題です。
適切な応答を記載しましょう。
ここも、答えは一様ではないので、「あなたは、」どう思っているのか、どういう感情なのかを「受け止め」れば、適切な応答になるはずです。
対話分析Ⅰは逐語記録に関わるはじめての課題になります。
テキストの第5章を読み返して、カウンセラーの「態度」と「応答」に注意をしながら読み解くようにしてください。