【要点のまとめ】《テキスト第1章》 カウンセリングとは何か - 「産業カウンセラー」資格試験の情報をまとめていく

2022年8月13日土曜日

【要点のまとめ】《テキスト第1章》 カウンセリングとは何か

産業カウンセラー養成講座・資格試験対策のために、テキスト第1章「カウンセリングとは何か」の要点をまとめます。

記載内容は「正しい」内容を前提としています(誤答はなし。)

(誤答を用いない理由は別の記事で記載したいと思います。)


1 カウンセリングとは、一般に、個人がもつ問題や悩みの解決のために、専門的な理論と方法に基づいて行われる相談や援助のことを意味する。

2 カウンセリングとは、より専門的には、カウンセリング心理学およびその関連領域(産業組織心理学、生涯発達心理学、臨床心理学、その他)の科学的・臨床的な知見に基づいた心理学的な援助を意味する。

3 カウンセリングには種々の立場や考え方があり、その理論的背景等の違いによって様々な定義がなされる。① どのような人間観や哲学的背景に立脚しているか、② 目標として人格変化や成長と具体的な問題解決のいずれを強調するか、③ 方法としてカウンセリング関係と介入技法のどちらを重視するか。などによる。

4 カウンセリングの基本的な意味(6w1h)は、カウンセラーが、クライエントに、設定された時間で、相談室において、カウンセリング関係を通じて、クライエントの問題解決や成長のために、必要な援助をおこなうこと。

5 カウンセリングの目標は(3つ)① クライエントの人間的成長への援助、② 豊かな社会生活の実現への援助、③ 生涯において遭遇する諸問題の予防と解決のための援助、にある。

6 産業カウンセリングとは、人間尊重を基本理念として、働く人が心身ともに健康でそれぞれの個性と役割が十分に発揮されるよう支援するカウンセリング活動の総称である。

7 日常的な会話や相談とカウンセングの共通する部分として、問題が解決したり、わかってもらえたと感じた時には喜びや安堵感、カタルシス(浄化作用)などが生じる。しかし、会話や相談の多くは各自の人生経験や価値を頼りに受け答えや助言によって進められ、一方的な助言で終わってしまったりすることもある。

8 カウンセリングにおいては、人生経験や価値観などから一方的に助言を与えるのではなく、一人ひとりが独自の存在であるという認識のもとにクライエントを尊重し、問題や悩みや葛藤などの語りを深く傾聴し理解することが重視される。

9 ガイダンスとカウンセリングの違いは、ガイダンスは教育的な指導を主とする。カウンセリングは心理的苦悩の軽減や人格の変容といったより内的で深い援助を重視する。

10 コンサルテーションは、コンサルタントの専門的な知識や経験に裏づけられた助言や提案を主な方法としている。カウンセリングは、クライエント本人の主体的な問題解決や人間的成長を促進しようとする点で異なる。

11 コーチングとカウンセリングの違いは、コーチングは、カウンセリングとくらべて、明確な目標を設定し、その達成を手助けする計画的な援助である。

12 ケースワークとカウンセリングの違いは、ケースワークは、生活環境や社会制度などの環境要因を重視し、クライエントを取り巻くさまざまな社会的な要因へ働きかける。

13 教育とカウンセリングは、人格の成長を目的とするという点では共通点があるが、教育(特に授業)は、文化や価値の伝達を重視する点でカウンセリングと同様ではない。

14 医療とカウンセリングは、医療分野では精神・神経科を中心にサイコセラピーやカウンセリングが取り入れらているが、医療では疾患や障害の診断と治療が主な目的であるが、カウンセリングの目的はよりポジティブな人間的成長や自己実現といったことを含む点で両者には違いがある。

15 クーパーは、カウンセリングやサイコセラピーの効果のエビデンスから得られる知見をまとめた。

16 カウンセリングの効果として、① 不安症状の軽減や問題行動の改善、② 心理的苦悩の改善や心理的な健康状態の増進、③ 対人関係上の問題解決や目標達成、④ 自己認識の変化・自己肯定感自己効力感の増大、⑤ ストレス耐性やレジリエンス(心理的ダメージからの回復力)の増進、などが挙げられる。

17 クーパーは、カウンセリングやサイコセラピーの効果のエビデンスから得られる知見を、① カウンセリングの有効性、② クライエント要因の重要性、③ カウンセリング関係の重要性、④ 介入技法の有効性、の4つにまとめた。

18 カウンセリングの限界として、カウンセリングは、クライエントのコミュニケーション能力や内省力、自身の行動に対する責任能力などが乏しい場合、有効に実施することが難しい。

19 カウンセリングの効果は、カウンセラーによってかなり差がある。しかし、カウンセラーの年齢や性別、パーソナリティ特性、人生経験などは効果とそれほど関係がない。大切なのは、不断の学習と訓練、臨床経験によって専門的な成長を遂げること、実際に提供できる関係や方法の質を高めることである。

20 カウンセラーが質の高いカウンセリングを提供するには、必要なときにスーパービジョンを受けることができる優れたスーパーバイザーをもっていることや、リファーを行う提携機関や他種専門職との良好な関係を築いていくことも大切な要因である。

21 クライエントのカウンセリングへの動機づけや関与の高さはカウンセリングの肯定的な結果と密接に関係している。逆に、クライエントのカウンセリングを受ける動機づけや意欲の低さは、カウンセリングが機能しにくいことの要因となる。

22 「共感」(empathy)とは、カウンセラーがクライエントの内的な視点からその人を理解しようとする態度によって形成されるもの。現在では、理論的立場や流派を超えてカウンセリングに不可欠の要因とみなされるようになっている。