【要点のまとめ】《テキスト第2章》 傾聴の意義と技法 - 「産業カウンセラー」資格試験の情報をまとめていく

2022年8月16日火曜日

【要点のまとめ】《テキスト第2章》 傾聴の意義と技法

産業カウンセラー養成講座・資格試験対策のために、テキスト第2章「傾聴の意義と技法」の要点をまとめます。

記載内容は「正しい」内容を前提としてまとめています(誤答はなし。)

第2章はカールロジャースの中核三原則、受容、共感、自己一致が説明されます。

一読での理解が難しい単元ですが、カウンセリングの基礎となる重要な部分になるので、ビデオ講座と合わせて、テキストの内容はしっかり理解するようにしましょう。


1 傾聴とは、誠心誠意、集中して相手の語りや表現を聴くことである。その意味で、決して受身的で消極的な行為ではなく、相手に積極的に関わろうとする能動的な行為であることから、積極的傾聴(active listening)とも言われる。

2 一般に人の話を聴く場合、相手の社会経済的な地位や状況、健康状態、家族構成、家族環境、抱えている問題の内容などを聞く。このような事柄は、カウンセリングにおいても、相手の特徴や傾向を客観的に知る情報として有用なものであるが、これだけでは十分とは言えない。

3 カウンセリングにおいては、客観的事柄や情報だけでなく、その人の問題について、クライエント本人にとっても十分に整理がついていないような内面的で情意的な側面を聴く必要がある。

4 カウンセラーは、クライエントの言語的表現をのみならず、表情、態度、声の調子、身体動作といった非言語的表現や、こうした表現の背景にある感情や気持ちを感受性豊かに把握し、それらの意味を汲み取る必要がある。

5 来談者中心療法のカール・ロジャースが概念化した内的照合枠(内的準拠枠)とは、個人の中にある、自分やものごとについての見方や感じ方の枠組みのことをいい、その枠組みを通して個人は自己や世界をその人独自の仕方で理解している。

6 傾聴が共感的なものになるためには、カウンセラーは自分の照合枠・準拠枠から相手を理解するのではなく、クライエントがどのような枠組みを通して自己や世界を捉えているかという点から、その内的な照合枠・準拠枠を共有しつつクライエントの内的な世界を理解することが求められる。

7 傾聴は、あらゆるカウンセリング実践の最も重要な基礎として位置づけられるものである。基本的な軸となる援助であり、全てのカウンセラーが必須のスキルとして身につけておかなくてはならないものである。

8 傾聴は、クライエントとカウンセラーの信頼関係を作る基礎となり、ラポール(rapport:新和的関係)の形成にとっても、長期的なカウンセリング関係の形成(リレーションづくり)にとっても大切な要素となる。

9 傾聴には、クラエイントを安全にそしてより深く自己探求へと促す効果がある(自己探求の促進)。

10 自己探求には、肯定的な面だけでなく、見たくない自己、否定してきた自己のネガティブな側面をも見つめ、それに触れていく作業も含まれるが、こうしたときには特に、カウンセラーの温かく非評価的な傾聴の態度が重要なものとなる。

11 傾聴は、基本的に、人として対等なカウンセラーとクライエントの関係の中で提供される。カウンセラーとクライエントは非対称的である。しかし、両者に人としての優劣や上下があるわけではない。

12 自己一致とは、カウンセリング関係の中でカウンセラーが自由にそして深く自分自身でいられることであり、そこで自分が体験し感じていることが正確に意識化され、必要なときにはそれをクライエントに表現することができるような態度である。

13 カタルシス(浄化)とは、苦悩や混乱の鎮静化をいい、傾聴がもたらす1つの心身的な作用であり効果である。

14 無条件の肯定的配慮とは、クライエントの体験や表現に対して、条件付きではない温かな関心を示し、受け止めることである。受容・尊重・温かさなどとも言われるが、クライエントの潜在的な力の発現を削ぐようないわゆる甘やかしの態度とは根本的に異なるものである。

15 共感的理解(共感)とは、クライエントの視点からクライエントが表現していることや感じていることを、カウンセラーが感受性豊かにそして正確に感じ取り、理解することである。

16 すぐれた共感的理解が提供されるためには、カウンセラーは、クライエントを感受性豊かに理解できる、柔軟で、しかも同時に自分を失うことのない、安定した自己を持っている必要がある。

17 場面構成とは、カウンセリングの場の設定や、カウンセリング関係についての話し合いと合意のことである。

18 場面構成は、初回のセッションの冒頭で行われることが多いが、その後もプロセルの進行に応じて、その都度柔軟に行われる。

19 傾聴の技法「かかわり行動」・・・クライエントが、安心して語ることができ、落ち着いて自分を振り返ることができるためには、カウンセラーからの非言語的メッセージを含めた積極的な関心が向けられることが大切である。

20 傾聴の技法「伝え返し(内容のくり返し)」・・・単に機会的に言葉をくり返せば良いというものではない。クライエントが語っていることを正確に理解し、その理解した内容を、キーワードや言い回しを中心にして伝え返すことが大切。

21 傾聴の技法「明確化」のポイント・・・明確化の内容が、クライエントが感じていることや話そうとしていることとずれてしまった場合、その内容を押し付けずに、クライエントが何を言おうとしているかの傾聴に戻ることが重要。

22 傾聴の技法「質問」には、ひと言かふた言で答えられる回答を求める「クローズド・クエスチョン」、語りの広がりや深まりを求める「オープン・クエスチョン」がある。

23 クローズド・クエスチョンは、多用しすぎると誘導的あるいは訊問的になり、クライエントの主体的な語りを阻害することとなる。

24 オープン・クエスチョンは、過剰に用いるとクライエントに混乱や不安を生じさせる場合もある。

25 傾聴の技法「事柄への応答」・・・事柄への応答とは、クライエントが語る事柄(事実や出来事、状況など)を把握し、理解しようとするカウンセラーの応答をいう。

26 傾聴の技法「感情への応答」・・・感情への応答とは、クライエントの語りや表現の中に表されている感情や気持ちに焦点をあて、クライエ ントの感情的・情意的な側面を理解しようとする応答をいう。

27 クライエントの沈黙は、① より適切な言葉を探している、② 自分や問題について語ることをためらっている、③ 不満や怒りで話すことを拒否している、④ 混乱や苦悩で語ることが困難な状態にある等の場面において生じると考えられる。

28 クライエントの多弁は、① 話したい事柄や感情が充満していて発散しようとしている、② 気持ちをカウンセラーに理解してもらおうとしている、③ 混乱によって興奮した、あるいは脱線しがちな状態にある等の要因や背景から起こることが多い。

29 傾聴の技法「感情の明確化」・・・クライエントのまだ十分に明確な言葉にされていない感情や非言語的な態度に表れている言葉の意味をキャッチし、それをできる限り明確な言葉や表現にしていこうとする応答のことをいう。

30 傾聴の技法「要約」・・・クライエントの一連の語りや表現の要点をまとめて伝え返す応答をいう。セッションの終了時や前回の内容をふり返る場合などにも用いられる。


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