【要点のまとめ】《テキスト第18章》労働法規の基本 - 「産業カウンセラー」資格試験の情報をまとめていく

2023年3月26日日曜日

【要点のまとめ】《テキスト第18章》労働法規の基本

産業カウンセラー養成講座テキスト、第18章の要点のまとめです。

労働法規の基本は、労働者の労働環境について、基礎的な事項を知るという意味で非常に大切な章となっています。

しかしながら、各種法令の規定などが絡むところがあり、個人的な印象としては、取っ付きづらく、「覚えにくい」という印象があります。

出てくる用語や数字について、繰り返し確認(目にする)して、慣れていくことで苦手意識を持たないことが大切かなと思われます。

この章については、私の場合、各法令とその法令に出てくる用語やキーワードを別途ノートにまとめました(苦手だったので)。

やり方は人それぞれですが、必要なのは「繰り返す」ことだと思います(繰り返し目にすれば慣れていきます。)。



01 労働協約とは、労働組合と会社との間で締結される労働条件などに関する合意・協定のことをいう。

02 就業規則とは、労働条件や職場規律など職場におけるルールを定めたものをいい、常時10人以上の労働者を使用する場合は、作成し労働基準監督署に届け出をする義務がある。 

03 労働基準法では、就業規則法理、解雇権濫用法理、雇止め法理などの判例法理の一部を法律上明文化した。

04 労働基準法は、使用者が就業規則を作成し、または変更するにあたり、①事業場の労働者の過半数代表からの意見聴取、②所轄の労働基準監督署長への届出、③作業場の見やすい場所への提示などによる労働者への周知の3つの手続きを踏まなければならないことを定めている。

05 労働契約法は、就業規則の変更の合理性として①労働者の受ける不利益の程度、②変更の必要性、③変更後の内容の相当性、④労働組合等との交渉状況を総合的に考慮して判断するものとしている。

06 労働組合法は、経済的に弱い地位にある労働者に団結活動や団体交渉を行うことを認めて、対等な立場での労使自治を促そうとする法律である。

07 労働条件のうち、労働契約の期間、就業場所、従事すべき業務、労働時間、賃金、退職(解雇事由を含む)に関する事項については書面の交付が求められている。

08 労働契約法16条は、解雇は、①客観的に合理的な理由を欠き、②社会通念上相当であると認められない場合には、権利の濫用として無効となるとされている。

09 整理解雇は、①人員削減の必要性、②解雇回避の努力義務、③人選の合理性、 ④手続の妥当性という4つの点を考慮しながら、合理性・相当性が判断される。

10 使用者は、解雇をするには、少なくとも30日前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。(労働基準法20条①)

11 天災事変などのやむをえない事由によって事業を継続できなくなった場合や、労働者に重大な非違行為があった場合には、事業者は、所轄労働基準監督署⻑の除外認定を受けて、予告なく解雇することができる。

12 労働基準法上の「労働者性」は、・使用性(使用者の指揮命令を受けて働いていること)・賃金性(労働の対償として報酬を得ていること)の2点が重要なポイントとなる。

13 有期労働契約が更新され通算契約期間が5年を超える場合、労働者に無期労働契約への転換権が付与される。

14 「雇止め」とは、有期労働契約の期間が満了し、会社が契約を更新しないと判断して労働契約が終了することをいう。

15 高年齢者雇用安定法では、定年年齢を定める場合は60歳以上とし、さらに65歳ま での雇用確保措置(①定年年齢の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年制の廃止のいずれか)をとるべきことを定めている。

16 労働基準法3条は、使用者が労働者の国籍、信条、社会的身分を理由として労働条件について差別的取り扱いをすることを禁止している。

17 労働基準法4条は、使用者に対し、労働者が女性であることを理由とした賃金差別をすることを禁止している。

18 間接差別とは、募集・採用において身⻑・体重・体力要件をつけるなど、実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものをいう。

19 パートタイム労働法は、適用対象となる労働者を、1週間の所定労働時間がその事業所の正社員(通常の労働者)にくらべ短い労働者と定義している。

20 短時間労働者を雇い入れるときは、昇給・退職手当・賞与の有無等を文書の交付等により明示しなければならない。

21 事業主は、労働者の募集・採用、および、雇用した障害者について、障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置(合理的配慮)を講じなければならない。

22 使用者は、暴行・脅迫・監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

23 期間の定めのある労働契約は、原則として3年を超えることができないが、例外とし て、①一定の事業の完了に必要な期間を定める場合にはその期間、②高度な専門知識・ 技術・経験を有する労働者と満60歳以上の労働者については3年を超え5年以内の期間を定めることが認められている。

24 使用者は、労働者が労働時間中に選挙権など公⺠としての権利を行使し、または、公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合には、これを拒んではならない。

25 賃金が低くなりすぎることや、企業間で不公正な競争が行われることを避けるため、賃金の最低額を設定する法律を最低賃金法といい、最低賃金には地域別最低賃金と、特定産業別最低賃金の2種類がある。

26 労働基準法では、賃金の支払方法について、①通貨で、②労働者に直接、③賃金の全 額を、④毎月 1 回以上一定の期日を定めて支払わなければならないという4原則を定めている。

27 日本では、使用者に幅広い採用の自由が認められているが、女性であること、障害者であること、年齢制限をつけることなど、法律上明文で禁止されている場合には、採用の自由もその制限に服する。

28 いったん労働契約が成立すると、その後の使用者による一方的な介助の意思表示には、解雇権乱用法理が適用される。

29 解雇権濫用法理は、使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる。とするもので、現在は労働契約法16条として規定されている。

30 出向とは、出向元企業に従業員としての地位を残しながら出向先企業で働くこと。転籍とは、移籍元企業との労働契約関係を終了させ、移籍先企業と新たな労働契約関係に入ることをいう。

31 民法は、期間の定めのない雇用契約については、2週間前に予告すればいつでも解約することができるとしている(627条①)(労働基準法第20条で修正)

32 ハラスメントは、法的には、①被害者の人格的利益を侵害する不法行為、②会社が労働者に対して信義則上負っている職場環境配慮義務に反する点はなかったかが主な争点となる。

33 会社が従業員の電子メールの監視を行うことについては、私的利用の程度、監視の目的・手段・態様などを総合的に考慮して社会通念上相当な範囲を逸脱しない場合には、プライバシーの侵害にはならないとされている。

34 法的に、賃金も契約(就業規則・労働契約など)によって決められているものである以上、これを変更しようとする場合には、契約上の根拠がいることとなる。

35 法律によって保護の対象とされる賃金とは、その名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいい、基本給、諸手当、賞与、退職金などのほとんどが、そこに含まれるものと考えられる。

36 最低賃金には、都道府県ごとの地域別最低賃金と、特定の産業ごとに地域別最低賃金を上回る最低賃金を定める特定産業別最低賃金の2種類がある。

37 賃金支払確保法は、政府が、退職労働者の請求に基づき、支払賃金の一定部分を立替払いするものとされている。(第7条)

38 いわゆる持ち帰り残業や自発的残業についても、会社側の黙認や許容があった場合には労働基準法上の労働時間に該当し得る。

39 管理監督者の範囲は、会社内での肩書きなど形式的な事情ではなく、個々の具体的な実態に基づいて客観的に判断されるべきであるとしている。

40 労働者が会社に雇われて、6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に、10労働日の年次有給休暇の権利が発生する。

41 育児介護休業法は、労働者が育児休業・介護休業などの申し出や取得をしたことを理由として、労働者に対し解雇などの不利益取扱いをしてはならないとしている。

42 産前産後休業、育児・介護休業については、法律上有給とすることは義務付けられていない。

43 労働者の安全や健康を確保するための法政策としては、労働災害の発生を事前に防止する「労働安全衛生」が重要であり、予防措置を尽くしても生じてしまった労働災害に対し事後的に救済を講じる「労災補償」も重要となる。

44 労災保険給付の対象とならない災害であっても、民法上の損害賠償請求が認められることもある。

45 安全配慮義務は、使用者が労働契約上の信義則に基づき労働者の生命や健康を危険から保護するよう配慮すべき義務をいう。

46 安全配慮義務は、事実上指揮監督をして働かせているといった「特別の社会的接触関係」にある当事者間であれば、広くそこに発生する義務とされている。

47 会社(使用者)は、労働者が過重労働により心身の健康を損なわないよう注意する義務を負う(健康配慮義務ともいわれる)

48 地域合同労組は、企業別労働組合ではカバーされていない労働者を救済する組織として、重要な役割を果たしている。

49 使用者が、労働組合との団体交渉を正当な理由なく拒否することは不当労働行為の一類型として禁止されている。

50 団体交渉の対象となる事項は、義務的団交事項と呼ばれ、団体交渉による労働条件対等決定の促進という労働組合法の趣旨に照らし、①労働条件その他の労働者の待遇、及び、②労働関係の運営事項であって、使用者に決定権限のあるものと広く解されている。

51 憲法28条は、労働者に労働組合をつくる権利(団結権)、労働組合を通じて使用者と交渉する権利(団体交渉権)と並んで、労働者に集団で行動する権利(団体行動権)を保障している。

52 禁止される不当労働行為の基本類型としては、①組合員であることや正当な組合活動をしたことを理由として不利益な取扱いをすること、②団体交渉を正当な理由なく拒むこと、③労働組合の結成や運営を支配しこれに介入することの3つがある。

53 労働者派遣法は、労働者派遣を、自分が雇用する労働者を他人の指揮命令下でその他人のために働かせることと定義している

54 労働者派遣事業は、厚生労働大臣の許可を受けたうえで、行うことができる。

55 政府は、雇用のセーフティネットを整備する政策(消極的労働市場政策)として、雇用保険による失業手当(求職者給付)を支給している。

56 政府は、積極的に雇用をつくり出したり、維持したりするための政策(積極的労働市場政策)として、①雇用保険二事業、②職業能力開発の援助、③高齢者、障害者等の雇用促進、④雇用保険による職業訓練給付・雇用継続給付などの政策を実施している。

57 雇用安定事業の代表例は、雇用調整助成金の支給である。景気変動などで事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業を行うなどの方法で従業員の雇用を守るための阻止と講じた場合に、労使協定の締結を条件に、政府が支給するもの。

58 求職者支援法に基づく、雇用保険の失業等給付を受給できない求職者(特定求職者)には、雇用保険の求職者給付の受給が終わってしまった者、被保険者期間が短く受給資格が得られなかった者、短時間または短期間の就労で適用除外とされていた者、大卒未就職者、自営業を廃業した者などが含まれる。

59 労働紛争については、裁判所による一般的な紛争解決手続きの他に、2004年に労働審判という手続きが設けられ、原則として3回以内の期日で、労働紛争を迅速に解決 することが可能となった。


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