産業カウンセラー養成講座テキスト第19章の要点のまとめです。
問題集への掲載問題はそこまで多くはありませんが、社会福祉関連法のうち、特に障害者関係の事項については、確実に抑えておくべき内容だと個人的に思っています。
これは、合理的配慮をはじめとした障害者支援・雇用促進は、産業実務的にも重要な要素となると考えられるからです。
他の法令関係・制度関係と同様に取り付きづらい部分ではありますが、繰り返しテキストを学習するようにしましょう。
01 1950年の社会保障制度審議会勧告では、社会保障制度を①社会保険、②国家扶助(公的扶助)、③公衆衛生及び医療、④社会福祉の4部門に分類した。
02 社会保障の目的は、①国民生活保障、②個人の自立の支援にある。
03 社会保障の機能には、①所得再分配機能、②リスク分散機能、③景気変動を微調整する機能、があると考えられる。
04 社会保険とは、リスク分散のため保険の技術を用いて保険料などを財源として給付を行う仕組みである。
05 社会扶助とは、保険の技術や原理に基づかずに租税を中心とする公費によって給付を行う仕組みである。
06 日本の社会保障制度には、年金保険、医療保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険の5つが存在する。
07 日本の公的年金制度は、職種を問わず20歳以上の全ての者が、いずれかの年金保険に加入する方式を採用し、老齢、障害及び死亡を保険事故として、一定の要件を満たす場合に、保険料の拠出に応じた年金給付を行う。
08 公的年金制度の構造は「2階建て」であるが、これに加えて、民間保険会社との私的な契約による個人年金や、任意に行われる各種の企業年金・国民年金基金等が3階部分として、公的年金を補完する役割を果たしている。
09 老齢年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(受給資格期間)が25年(300か月)とされてきたが、2012年の法改正等により、2017年10月支払い分から資格期間が10年(120か月)に短縮された。
10 厚生年金保険料の負担は、労使で折半され、その両方について事業主に納付義務が課されている。
11 公的医療保険は、①被用者とその家族が加入する健康保険等の被用者保険、②その他の者(自営業者や農業者等)が加入する国民健康保険、③75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度、からなる。
12 傷病手当金とは、被保険者が療養のため労務不能となったときに支払われるものであり、労務に服することができなくなった日から起算して4日目から最長1年6ヶ月までの間に労務に服することができなかった日について、標準報酬日額の3分の2が支給される。
13 健康保険料の額は、被保険者の標準報酬月額と標準賞与額に保険料率を乗じた額である(労使折半)。
14 医療保険のしくみは、現代医学を身につけた医師や看護師等の専門医が養成され、その活動の場である病院などの設備が適切に整っていることが前提となる。
15 介護保険制度は、従来の公費負担の措置制度に代えて、給付と負担の関係が明確な社会保険の方式が採用され、利用者とサービス提供者との契約関係を基礎として、その費用を給付する形に改められた。
16 介護保険の被保険者が保険給付を受けるためには、被保険者が市町村に申請を行い、要介護(要支援)認定を受けなければならない。
17 生活保護法の目的は、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することにある。
18 生活保護法には、①国家による最低生活保障の原理、②自立助長の原理、③無差別平等の原理、④補足性の原理という、4つの原理が規定される。
19 障害者基本法は、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と定義する。
20 障害者手帳に関連し、従来から手帳制度に依拠しすぎることの弊害もあり、サービスや給付の受給要件を何により判断するかは、今後の課題とされる。また、精神障害者への偏見が残る中で手帳の取得をためらう場合など、手帳を所持しないケースが他の障害よりも多いと考えられる。
21 障害者総合支援法は、従来の障害者福祉各法に基づき分立して規定されていた給付及び事業を一元化した。
22 障害者総合支援法は、給付内容を、①自立支援給付、②相談支援事業、③地域生活支援事業に分け、原則として1割の利用料負担でサービスを利用できるようにした。
23 一般企業で働いていた人が、メンタルヘルス不調などが原因で一時的に離職した場合にも、障害者総合支援法に基づく就労移行・継続支援事業を利用することにより、徐々に一般就労への復帰を目指すことが可能である。
24 障害者雇用促進法における差別禁止や合理的配慮の規定は、雇用の「質」にも着目するものであり、これまでの障害者雇用施策の転換をもたらすものと期待されている。
25 障害者雇用促進法に基づく雇用義務制度は、①法定雇用率以上の障害者を雇用することを事業主に義務付ける「障害者雇用率制度」、②雇用義務を達成できない事業者から納付金を徴収し、雇用義務を超えて多数の障害者を雇用する事業主に調整金を支払う「障害者雇用給付金制度」で構成される。
26 雇用義務の対象は、身体障害者、知的障害者、症状が安定し就労が可能な状態にある者で精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者である。
27 障害者雇用促進法では、事業主は、募集・採用時において、「障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない」としている。
28 障害者雇用促進法では、事業主は、採用後において、「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない」としている。
29 合理的配慮の提供対象者について、「長期にわたり」「相当の制限」「著しく困難」を判断する基準は設けられておらず、障害者手帳を所持しない者のどこまでが含まれるかは不透明である。