【要点のまとめ】《テキスト第21章》職場におけるメンタルヘルス対策への支援 - 「産業カウンセラー」資格試験の情報をまとめていく

2023年4月29日土曜日

【要点のまとめ】《テキスト第21章》職場におけるメンタルヘルス対策への支援

産業カウンセラー養成講座テキスト第21章、 職場におけるメンタルヘルス対策への支援についてのまとめとなります。

個人的に、メンタルヘルス対策には興味があり、各種定義についての根拠規定や出典が記載された本章については、興味深く読み込むことができました。

職場環境・人間開発、キャリア形成と並ぶ産業カウンセラーの活動領域の1つとなりますので、ポイントは確実に抑えるようにしましょう。


01 職場で行われているメンタルヘルス対策は、労働安全衛生法を中心として、労働基準法、労働者災害補償保険法、労働契約法を主な法的背景としている。

02 労働安全衛生法では、「事業者」は、法人企業では法人そのもの、個人企業では事業主自体を指す。

03 労働基準法では、「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をなすすべての者とされている。

04 労働基準法における「使用者」は、労働基準法が帰省している事業に関して「実質的な権限を有している者」を指す。

05 労働基準法において、労働者が業務上の事由により負傷、死亡するか、または疾病にかかることを労働災害と言い、労災補償責任が定められている。

06 労災補償責任に基づく対応を、国の強制保険制度によって、事業主に代わって行っているのが労働者災害補償保険(労災保険)であり、この労災補償制度は労災保険法によって規定される。

07 労災補償の保険給付には、業務災害に関するものと、通勤災害に関するものがある。

08 労災補償の対象と認められるには、その傷病等に「業務起因性」が成立しなければならない。

09 労災補償に際し、業務起因性が成立する前提条件として、業務遂行性が認められる必要がある。

10 労災補償を得るには、まず本人あるいは家族が、事業主の証明と医師の診断書を添えて管轄の労働基準監督署に書面を提出する。

11 労災認定基準では、精神障害の起因として「ストレス-脆弱性理論」の考え方を採用している。

12 「ストレス-脆弱性理論」とは、環境に起因するストレスと個人の反応性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まると考えるものである。

13 長時間労働に関しては、発症日から起算した直前1ヶ月間に概ね160時間を超える時間外労働を行った場合等では、極度の長時間労働について「特別な出来事」に該当するものと扱われる。

14 産業医は、労働者数が常時50人以上の事業場で選任義務が課せられており、1,000人以上では、専属の産業医が必要となる。

15 労働衛生の3管理とは、作業環境管理、作業管理、健康管理である。さらに労働衛生教育、総括管理を加えて、労働衛生の5本柱とする考え方もある。

16 事業者は、常時雇用する労働者に対して、その健康状況を把握するため、毎年健康診断を行わねばならない。

17 THP(トータルヘルスプロモーションプラン)では、運動指導、保健指導、栄養指導及びメンタルヘルスケアを行うこととなっており、運動指導と保健指導は全員が対象となる。

18 事業者(使用者)は、雇用する労働者に対して、安全配慮義務を負っている。

19 安全配慮義務とは、雇用する労働者が仕事を遂行する中で生命や安全が脅かされることがないかどうかを確認し(危険予知義務)、その可能性が高い場合には、未然にその対策を講じなければならない(結果回避義務)ことをいう。

20 メンタルヘルスとは、精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう。

21 メンタルヘルス指針では、①セルフケア、②ラインによるケア、③事業場内産業保険スタッフ等によるケア、④事業場外資源によるケアの4つのケアを関連づけながら、事業場全体で推進することを求めている。

22 セルフケアとは、労働者が自らのストレス状態を知り、それに適切に対処する取り組み(周囲への自発的な相談を含む)をいう。

23 ラインによるケアとは、管理監督者による職場環境の評価と改善、部下からの相談への適切な対応などをいう。

24 事業場内産業保健スタッフ等によるケアとは、産業医およびそれに準じる医師、保健師、看護師、衛生管理師、衛生推進師、人事労務管理スタッフなどによる、それぞれの立場からの活動をいう。

25 事業場外資源によるケアとは、事業場外の専門家、専門機関を活用した活動である。

26 4つのケアは、労働安全衛生マネジメントシステムの考え方を導入して進められるべきであり、安全衛生活動をPDCAサイクルで回す形で、らせん階段を昇るように水準を高めていくものである。

27 メンタルヘルス指針においては、教育研修及び情報提供が重視されていることも注目すべきである。

28 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引きは、メンタルヘルス不調によって休業した労働者の職場復帰支援のあり方を包括的に示している。

29 職場復帰支援の手引きでは、職場復帰支援を、当該労働者が休業を開始してから職場復帰を果たし職場に再適応するまでの期間の活動とし、5つのステップに分けて整理している。

30 職場復帰支援のステップは、①疾病休業開始及び休業中のケア、②主治医による職場復帰可能の判断、③職場復帰の可否及び職場復帰支援プランの作成、④最終的な職場復帰の決定、⑤職場復帰後のフォローアップという流れとなる。

31 試し出勤等とは、模擬出勤、通勤訓練、試し出勤に分類され、負荷の軽い作業などを行わせる制度をいう。

32 各都道府県の地域障害者職業センターで実施される在職精神障害者の職場復帰支援プログラムとして「リワークプログラム」が注目されている。

33 過重労働対策の基本は、時間外・休日労働時間の削減および年次有給休暇の取得促進であるが、そのうえで長時間労働を行わざるを得なかった労働者に対して面接指導などが実施される。

34 職場環境改善では、いわゆるトップダウン式の活動に加え、現場解決型活動を推進していくことが、職場環境活動の主流となりつつある。 

35 自殺対策基本法では、職場(事業者)に求める取り組みについて、「国及び地方公共団体が実施する自殺対策に協力するとともに、その雇用する労働者の心の健康の保持を図るために必要な措置を講じるように努めるものとする」とされる。

36 自殺対策は、プリベンション、インターベンション、ポストベンションの3つに分けられる。

37 プリベンションは、自殺のリスクが高いと考えられる集団を対象とした働きかけであり、職場関係者の相互支援が代表例である。

38 インターベンションは、自殺の危険が特に高まっている者への個別対応である。

39 ポストベンションは、自殺者の周囲に残された人々に対する支援である。

40 被災者の心理状態は、①茫然自失期、②ハネムーン期、③幻滅期、④再建期の4つの段階を踏んで経過していく。

41 災害等緊急時に備えて、事業場では、事業場に合った対応マニュアルを作成しておくことが望ましい。

42 災害等緊急時における初期対応は、対応マニュアルがなくても最低限のことができるように、職場全体が定期的に確認し合う機会を設ける。

43 災害発生後、回復過程で生じる不安、不注意のために事故や二次災害が発生することもあるため、心理的な変化とその回復の見通しに関して、早期のうちから職場に対して情報提供をすることも重要である。

44 災害発生時、産業保健スタッフは、地域医療との連携の下、健康管理活動に関する方針決定、被災労働者の健康状態の把握、援助者への助言、援助者の健康管理の支援の4つの役割を担う。


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